BeReal(ビーリアル)は、2020年にフランスで誕生したSNSアプリで、ユーザーに毎日1回届く通知に2分以内で応えるというユニークな仕様により、Z世代を中心に世界的な注目を集めています。
特に「リアルな自分をそのまま発信する」スタイルは、InstagramやTikTokとは異なる独自のポジションを確立し、全世界で広まりました。
この記事では、BeRealが全世界でどのように使われているのか、その人気の理由、各国の利用傾向、ユーザー数の推移などを詳しく解説していきます。
BeReal(ビーリアル)とは?
BeRealは、ユーザーが1日1回だけ届く通知に対して、スマホの前面カメラと背面カメラを使って同時に写真を撮り、その瞬間を友達と共有するSNSアプリです。通知は毎日異なる時間に送られ、投稿には加工やフィルターが使えないため、「今この瞬間」の自分の姿や環境をありのままに残すことができます。ユーザーは2分以内という短い制限時間内に写真を撮影する必要があり、考え込む暇もなく、瞬時にリアルな投稿が求められます。
この独自の仕様が「リアルさ」を追求するBeRealの最大の特徴です。他のSNSのように自分のベストショットを選ぶのではなく、その瞬間の自然な自分をそのまま投稿することが求められるため、演出や虚像が生まれにくい構造となっています。
そのリアルさと手軽さから、SNS疲れを感じていた若年層を中心に一気に広まりました。特にZ世代にとっては、「完璧さ」を競うSNSから解放され、素の自分を気軽に見せられるプラットフォームとして支持されています。また、ユーザーが投稿しないと他人の投稿が見られないという仕様も、受け身ではなく能動的に参加する文化を醸成し、SNS全体に対する健全な空気を作り出しています。
全世界におけるBeRealの利用状況
世界中のユーザー数と推移
BeRealは2022年に爆発的に成長し、2022年8月には月間アクティブユーザーが7,350万人に達しました。これは、前年の数百万人規模からの急増であり、SNS市場における新たなムーブメントとして注目されました。その後、競合アプリの台頭や一部ユーザーの離脱により若干の減少傾向が見られたものの、2025年現在では日次アクティブユーザーが4,000万人程度と、依然として非常に高い人気を維持しています。
また、ダウンロード数の累計は1億を突破しており、ユーザーの地域分布は世界中に広がっています。特に10代から20代前半にかけてのZ世代に強く支持されており、SNSの利用目的が「見せる」から「記録する・共感する」にシフトしてきたことが、BeReal人気の背景にあるといえます。さらに、2024年からの新機能導入や、広告ベースの収益化が進んだことで、再び注目を集めつつあります。
利用者の多い国
BeRealは現在、以下の国々で特に高い人気を集めています:
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日本:Z世代を中心に、大学生・高校生の間で人気。ストーリー性のある日常記録ツールとして活用されており、「映えないけどリアル」な投稿に共感するユーザーが増加しています。
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フランス:BeRealの発祥地であり、地元の支持が非常に強いです。フランス国内では中高生や大学生のみならず、保護者世代にも関心が広がっており、家族ぐるみの利用も始まっています。
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アメリカ:爆発的なブームを起こした中心地。特に大学キャンパスでの広がりが顕著で、「毎日の記録」を友人と共有する文化が根づいています。ハッシュタグを用いた共有文化も一部形成されており、TwitterやInstagramとの連携も見られます。
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イギリス・ドイツ・カナダ:欧米諸国を中心に、Z世代を中心としたユーザー層の拡大が進んでいます。特にイギリスではSNSマーケティングとの親和性の高さから、BeRealをプロモーションに使う事例も現れています。
今後は、東南アジアや南米などの新興市場でもユーザーが増えていくことが期待されています。
世代別の利用傾向
BeRealの主なユーザー層は、18歳〜24歳のZ世代です。特に女性の利用率が高い傾向があり、InstagramやTikTokのような過剰演出や編集を避け、「ありのままの自分」を記録する目的で利用されています。このリアルさが、「SNS疲れ」を感じていた若者たちのニーズにマッチしており、BeRealの急成長を支える大きな要因の一つです。
また、「1日1回」という投稿制限が、SNSへの過度な依存を防ぎ、結果的にユーザーの時間管理や生活リズムの向上にも貢献していると評価されています。Z世代の中でも、時間や精神的コストを重視する層にとって、BeRealはまさに「ストレスの少ないSNS」として機能しているのです。
最近では、25〜30歳のミレニアル世代にも利用が広がっており、働きながら日常を手軽に記録したいというニーズにも応えるようになってきています。
BeRealが世界中で人気を集めた理由
1. SNS疲れからの解放
他のSNSと異なり、BeRealでは「いいね数」や「フォロワー数」が前面に出ない設計になっており、承認欲求のプレッシャーが少ないことが特徴です。投稿数やフォロワー数に縛られることなく、「誰かに評価されるため」ではなく「自分のため」に投稿するスタイルが、多くのユーザーに安心感を与えています。SNSを使いながらも精神的に疲弊しないという利点が、Z世代だけでなくミレニアル世代やそれ以上の世代にも好評を得ています。
また、投稿が24時間で消えるという一時性も、完璧を求めない姿勢に繋がっています。「残さない」ことが「気軽さ」にもつながり、心理的ハードルが非常に低いのです。
2. 投稿の手軽さと強制力
「2分以内に撮影」というルールがあることで、悩まずサッと投稿できるのも魅力。これにより、日常の自然な一面が記録されます。投稿のタイミングが毎日異なるため、生活の中のさまざまな時間帯が記録され、「その人のリアルな1日」が断片的に保存されていく感覚があります。
この投稿スタイルは、写真を撮ること自体に慣れていない人や、日々の生活を残す習慣がない人にとっても、日常記録の入り口となります。また、時間制限があることで、「あとで撮ろう」ができず、今この瞬間の自分に向き合う仕組みが生まれています。
3. 相互性のある投稿閲覧
他人の投稿を見るには、自分も投稿する必要があります。この「双方向性」が、より健全なSNS文化を生み出していると評価されています。受け身にならず、積極的に参加することが前提となるため、BeRealには「見てるだけの幽霊アカウント」がほとんど存在しません。
この仕組みにより、投稿された内容へのリアクションやコメントも、実際にその瞬間を共有した仲間からのものに限られる傾向があり、深い信頼関係や共感を育みやすい環境が整います。SNS上での人間関係において、より本質的なつながりを感じやすいことが、多くのユーザーから高く評価されています。
最近の動向と今後の展望
Voodooによる買収と広告導入
2024年6月、フランスのテック企業Voodooにより、BeRealは5億ユーロで買収されました。この買収は、フランス発のSNSアプリとしては異例の大型案件であり、業界全体からも注目を集めました。Voodooはこれまでも数々のモバイルアプリで成功を収めており、BeRealのグローバル展開をさらに加速させる目的で買収に踏み切ったとされています。
買収後、VoodooはBeRealの収益化に向けた取り組みとして広告モデルを導入し始めました。これにより、ブランドや企業がBeReal上でプロモーションを行うことが可能となり、ユーザー体験を損なわない自然な形で広告が表示されるよう調整が進められています。また、広告表示の対象は主にストーリー閲覧時やフィード閲覧時とされており、ユーザーの投稿体験には極力干渉しない設計がなされています。
新機能の追加
Voodooの傘下に入って以降、BeRealではユーザー体験を向上させるための新機能追加が相次いでいます。これまでに導入された機能には、以下のようなものがあります:
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近くの人の投稿が見られる「Nearby」機能:GPS機能を活用し、地理的に近いユーザーの投稿をリアルタイムで閲覧できる仕組み。旅行中のユーザー同士がつながるきっかけとしても機能しています。
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おすすめ投稿の自動表示:アルゴリズムにより、ユーザーの関心に近い内容の投稿が優先的に表示されるようになり、これまでよりも新しい人との出会いが生まれやすくなっています。
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企業向けアカウントやキャンペーン用機能:ブランドが公式アカウントを開設し、フォロワーとの交流や期間限定イベントなどを実施できるようになっています。これにより、商用活用の道も模索されており、インフルエンサーとの連携も進行中です。
さらに将来的には、ライブ配信機能や動画投稿の拡張、AIによるハイライト生成といった機能も検討されており、BeRealは単なる「リアル投稿SNS」から、より多機能かつ多層的なプラットフォームへと進化する兆しを見せています。
世界的なBeRealブームのまとめ
BeReal(ビーリアル)は、全世界で注目されるSNSアプリとして、Z世代を中心に高い人気を誇っています。加工なしの「リアルな自分」を記録できる点が、多くのユーザーの共感を呼びました。
2025年現在も日本、アメリカ、フランスを中心に数千万人単位のユーザーが日常的に利用しており、今後も広告導入や新機能追加によりさらなる進化が期待されます。